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容器の残液が、ガラス塊にはならない訳

極薄膜に塗布したコーティング液剤は、溶剤が、低沸点~中沸点~高沸点へと徐々に乾燥し硬化膜となります。「開放した塗装表面に塗布される様に設計」 されていますので、閉鎖空間の容器の残液がガラス瓶の底の様には固まりません。 また特に低分子材料が多く含まれる場合は、材料にもよりますが粉っぽく乾燥します。 建材用の無機系の塗料を転用している場合が多いので、その様な発想になると思われます。

重要な塗布工程によるコーティングの性能差

コーティング作業時に使用します塗布具(塗布パット・拭き上げ用クロス)が、硬くならないのは、コーティング液剤が塗装面に密着している証です。逆に硬くなっている場合は、液剤が塗装面に密着する事無く、塗布具に拭き取られて硬化したと考えられます。 コーティングの液剤は、スプレーの場合は塗着率により半分近くは空気中に飛散し、手塗の場合も拭き上げ用クロスにワイピングされ全量が塗布出来る訳ではないです。 ですからそのあたりの工夫も液剤に求められ、 ここが液剤性能を左右する最大のポイントです。

コーティング液剤の「透明度」について

基本的に、反応性のコーティング液剤は「無色透明」が殆どです。これは、各種材料(樹脂、溶解剤、触媒 他)が、液中に綺麗に「溶解し・分散」している証です。白濁や沈殿物がある場合は品質に問題がある場合が多い。保存品質を維持するには、容器を密閉性の高いガラス瓶と溶けない信頼性の高いパッキンが必須です。当社で樹脂ボトルにてテストしましたが、長期保存では全て白濁し沈殿物が発生しました。また液剤が透明でない場合は、光沢に影響します。※濁りや分離していたり、水や界面活性剤等が混合されたモノやWAX等はこの限りではないです。

塗装の光沢

例えばトヨタのカラー№202で、綺麗に磨けたピュアな状態の数値が、「82~85」です。これにコーティングしますと、数値が低下します。ですから重ね塗りしますとほぼ数値は低下します。色の深みが増したは、光沢が低下したと考えられます。この結果から、コーティングの膜厚は美観を左右する一つの要因です。※当社商品で試験をした範囲の数値で保証値ではございません。また全てがどうかは不明です。ㅤ・光沢の測定角:60度ㅤ・校正板(校正用の黒色ガラス板)によるゼロ・スパン校正時の数値:85ㅤ・測定機器:堀場製作所、光沢計グロスチェッカーIG-331

コーティングの膜厚

一般的には、有機系のコーティング材(WAX類)で性能を得るには数ミクロン以上の膜厚が必要ですが、無機系のコーティング材は、極薄膜(ナノメーターレベル)で同等以上の性能が得られます。そもそも無機系材料の膜厚を上げるのは技術的に難しく、また重ね塗り等で極端に膜厚を増そうとすると、塗装表面の光沢の著しい低下や、剥離、シミの要因となる可能性が増大します。過去に開発元で測定した経験では、ナノメーターの範囲でした。ミクロンレベルは出なかったです。コーティングは、塗装では無いので膜厚を望むなら「塗料」で塗装するべきです。但しコストは数十倍以上掛かりますが。手軽に自動車の綺麗を保てるのがコーティングです。

膜厚の測定方法

実際に自動車に塗布されたコーティング層だけの膜厚を測定するのは難しいです。カットする時に断面が潰れ正確には測れません。測定自体は、基本ガラスへ塗布しそれを割って断面を電子顕微鏡で撮影し計測するか、コーティング表面を刃物で傷を付けてその傷の深さを電子顕微鏡で撮影し測定します。ハンディータイプの膜厚計は、一般的には約5ミクロン位は誤差の範囲と云われ、正確に測定するには、数千万円の据置型の膜厚計測装置が必要です。